よくあるご質問
1. 日本語学校はどんなお子さんを対象にしていますか。
両親もしくは片親が日本語話者、あるいは日本語を母語とし、家庭で日本語を日常会話として使用しているお子さんを対象にしています。
2.日本語学校ではどんな勉強をしていますか?
上記のお子さんを対象に、「継承語」としての日本語教育をしています。
幼児部では、歌、手遊び、工作、運筆などを遊びながら自然に日本語や学習態度が身に付くような保育活動をしています。
小学1、2年生では、主に継承日本語教育のために作られた教科書とワークブックを使って、平仮名、片仮名と漢字の習得を中心に、読み方、書き方の基礎を学習します。
小学3年生以降は、文部科学省検定済教科書の上と下をそれぞれ1年かけて学習していますが、教科書をそのまま学習するのではなく、教科書をクラスの年齢と日本語レベルに合う教材として学習できるように、それぞれの教師が努力しています。
教材は日本の国語教科書だけではなく、日本文化や国語科以外の日本語学習も取り入れながら、年齢にあった生教材をはじめ、子どもたちが使える日本語を考慮した学習をしています。
3.「継承語教育」とは何ですか?
継承語教育は、基本的には父や母である保護者や家族から継承される言語であり、「保護者が子どもに自分の言葉を継承させたいという意志と責任をもつ教育」です。バーゼル日本語学校は、ご家庭だけでは継続しにくい日本語教育を支援する役割を担っています。家庭と学校が二人三脚でお子さんの日本語学習を支えていけることが大切です。継承語教育の真の目的は、お子さんが親の言葉を学ぶことにより、よりよい親子の関係とご家族の幸せを支援することと考えています。
本校では、継承語教育の勉強会も行っています。
4.どうして、海外で日本語を教えることが大切なのですか?(継承語を教える大切さ)
「継承語」は、何よりも第一に、親子、そして日本の家族とのきずなを深める言葉です。また、「自分は何人なのか。」といった自身のアイデンティティを形成する時期に大きな助けともなります。家庭で使用される言語は、基本的にはそれぞれの家庭の事情でどの言語が大切かを決められるべきで、継承語教育は強制される言語教育では決してありません。ただ、親の言葉である日本語を学習しなかった、あるいはできなかったお子さんは、成人になるにつれて日本語を使えるようになりたいと考えるケースが大変多いということから、私たちは継承語教育を推奨しています。
5. 日本語学校に通っていれば日本語ができるようになりますか。
日本語は他のヨーロッパ言語とは大きく異なる言語です。平仮名・片仮名・漢字と多くの文字もあり、男女言葉や敬語もあります。1週間に1 回90分だけの授業では、日本語の能力を身に付けることは非常に困難です。言語能力には、日常的な会話などができる伝達言語能力(Basic Interpersonal Communicative Skills / BICS)と学校などでの学習により発達する学力言語能力(Cognitive Academic Language Proficiency / CALP)という二つの能力があると考えられています(カミンズ,1984)。バーゼル日本語学校は、この2番目の能力を促進するための効果的な学習の場と考えます。学校では、読み書きを学ぶことにより、より深い言語能力を獲得していけるよう努力しています。子どもたちは熱意ある教師のもと、クラスの仲間と楽しく学ぶことでこの能力開発を促進していけます。ですから、ご家庭では、お子さんと日本語をたくさん話し、保護者の立場から日本語学校の学習をサポートしてください。教師と保護者が互いに連携・協力し合ってお子さんの日本語学習を効率よく進められることが大切です。
6. 日本能力試験(JLPT)を受けられますか。
日本語能力試験は、国際交流基金と日本国際教育支援協会が主催している試験で、日本語を母語としない者を対象とし、日本語能力を測定し認定することを目的とする試験です。本校では、この試験を受けるのは生徒の自由意志となっています。特に能力試験に受かるための授業は行なっていませんが、受験したい生徒がいる場合は、そのクラスの状況を判断して、試験の多少の準備は各教師の采配のもと行われています。多くの児童・生徒が5年目には日本語能力試験N4に、7年目にはN3に、9年目にはN2に合格するレベルにまで達していることが実績によりわかっています。A組にはN1に合格する生徒もいます。
日本語能力試験のリンク
7.宿題はありますか。
幼児部では宿題はありませんが、小学部からはあります。日本語学校の週に一度、90分の授業のみで日本語を身に付けるのは難しいです。
8.バーゼル日本語学校が所属しているHSKとは何ですか?
HSK(Unterricht in Heimatlicher Sprache und Kultur)は「継承語及び継承文化授業」と日本語に訳せるもので、スイス各州の教育庁では、州で認定した継承語教育機関に様々な支援を行っています。BS州では現在40言語の継承語教育機関が認定されており、バーゼル日本語学校もその一つとなっています。バーゼルでは、教室の無償貸与、コピー機の無償使用、教師研修、保護者及び教師へのドイツ語コース開催などの支援をうけています。また、小学2年生から中学3年生までの生徒に対しては、バーゼル日本語学校のHSKの成績が現地校の成績表に添付されます。
HSKのHP(BS州)リンク
HSKのドイツ語フライヤー(BS・BL両州)リンク
HSKの日本語フライヤー
HSK(BS・BL両州)保護者向けフライヤーと日本語学校案内のリンク
(※下記リンクをクリックしたのち、「Japanisch」をご選択ください。)
HSK (BS・BL両州)日本語学校への申し込み用紙ダウンロード先リンク
9.入学までに何をすればいいですか?
【幼児部入学の場合】
◎親子離れて過ごす練習をしておきましょう。
幼児部では親と離れて、先生とほかの子供たちと楽しく日本語で遊ぶと同時に、社会性を養っていきます。親と離れる時間を少しずつ増やして、お子さんが不安なく幼児部で過ごせるようにしていきましょう。
◎ひとりで靴や上着の着脱ができるようにしておきましょう。
◎ひとりでトイレにいけるようにしておきましょう。
副担任のサポートがありますが、自立への第一歩として自分でできるようにご家庭で練習しておきましょう。
【小学部入学の場合】
ひらがな、カタカナを練習しておく必要はありませんが、書く意欲が高い場合は、書き順に気を付けてあげてください。文字を書く練習よりは、ぬり絵・運筆練習などで鉛筆を持つ習慣をつけ、多くの語彙を覚えるようにすることが大切です。日本語で歌を歌ったり、お話を聞かせたりして楽しく過ごすようにしてください。
10.継承語教育をしていく際に、どんなことに親は気をつければいいですか。
親が一緒に学び、サポートする姿勢を持つことが重要です。他の家庭と比較するのではなく、それぞれの家庭の事情、お子さんの性格、生活環境を十分に考え、お子さんの成長を認めてあげてください。絵本や物語の読み聞かせをするなど、日本語でお子さんと楽しい経験をするように心がけましょう。また、一緒に日本語のアニメや映画を見て、話し合うことや日本にいるご家族(お子さんの祖父母、叔父叔母、従姉妹たちなど)とのコンタクトを日本語でされるなど、日常の生活で日本語を使用できる環境を多く作る努力が必要です。日本語の学習は机上のものだけではなく、楽しい活動で日本語に触れることでもあることをご理解ください。
ご意見、ご感想、ご質問等がありましたら、いつでもご連絡をください。
kontakt@japanischeschulebasel.ch