2018年11月

フックス清水美千代先生 平成30年度外務大臣表彰受賞

 

 バーゼル日本語学校の設立に尽力され、以後30年に渡り当校で教鞭を執ってこられたフックス清水美千代先生が平成30年度外務大臣表彰を受賞されました。

 

 フックス先生は現在A組(中高生クラス)を担任され、生徒への日本語指導はもとより、学校運営、保護者向けの継承日本語教育勉強会を主催など、当校の日本語教育に大きく貢献していただいています。バーゼル日本語学校ではフックス先生のこれまでのご貢献に感謝申し上げると共に、この度の外務大臣表彰受賞を心からお祝いいたします。

 

去る11月22日、本田スイス大使公邸にて授賞式が行われました。

 受賞の挨拶
 
        
         バーゼル日本語学校保護者および関係者の方々へ

 

 

今回の表彰への祝辞をいただき大変ありがとうございます。

 

 今回の外務省からの私への表彰理由として三つの点があります。一つは、

1984年から今年で34年続いているスイスと日本の青少年交流事業で、これは

主人の献身的なイニシアティブがなければ続かなかったボランティア事業で、

私はそのサポートをしてきただけです。もう一つは、かつてスイス日本語教師

の会の会長を務めていたこと。そして三つ目は、継承日本語教育に関すること、

特にスイス継承日本語教育機関連絡会の立ち上げとその継続に対してです。

 

 スイスでの継承日本語教育の進展のための努力は私のミッションのようなもの

と言えます。継承語教育として日本語を学習する子どもたちは、文科省にとって

は日本人子弟ではない、外務省の管轄から見ると外国人ではないという、まさに

各省の隙間に落とされたままのもやしっ子状態がずっと続いてきましたし、

継承語という言葉自体が大変不慣れな状態が今も続いていると思います。

この2、3年、急に海外での日本語教育が注目されてきましたが、それでも、両親

が日本人である子どもが日本語ができるのは当然、さらに片親でも日本人であれ

ば日本語ができるのは当然と思うのが普通の日本にいる人々の感覚です。

海外において環境が日本語でない世界で、親の言葉を勉強することが、場合に

よっては非常に困難であることを知る人は少ないと言えます。

 

 幸い、バーゼルという土地柄は外国人や移民の多いところでもあり、バーゼル両州政府も様々な文化の人々が共存することに非常な繊細さを持って対処しているところです。

 継承語教育は、親の言葉を学ぶということから、親子との絆、本人のアイデンティティーの確立、さらには親の出身国と他国との橋渡しのできる人間の形成に関わってくる言語学習です。また外国語を学ぶという普通の感覚と違い、非常に感情を伴った言語学習と言えます。親子の絆だけではなく、親の出身地に住む両親(祖父母)、兄弟(叔父叔母)、いとこなどとのコミュニケーションの可能性と大きく関わってくる非常に人間的な感情の言語学習と言えます。

 

 海外で住むところの言語以外の親の言語を学ぶ子どもたちは、モノリンガルの世界にいる子供達よりも広い視野をもち、他の文化や言語に対して理解力が深くなると思います。それは、人間として一回り大きな人間になれるのではないかということです。

 

 私は、バーゼル日本語学校の子どもたちが将来、それぞれの希望の職業につき、他の様々な文化や言語に対して敬意を持ち、他の文化圏の人々と手を取り合ってよいよい社会を形成していける人間になってもらいたいと思ってます。

 

 教師陣、保護者が一体となって、子どもたちが幸せな日本語学習ができるようこれからも努力していきたいと思っています。皆さんで手を取り合ってより良い方向に進むことが大切だと思っています。今後ともよろしくお願いいたします。

 

 

フックス清水美千代